東京ライフスタイル探訪
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【vol.25 天王洲アイル】運河に囲まれアートに触れる、都会的な水辺の街

皆さまこんにちは。東京の街を愛する宅地建物取引士、伊勢谷(いせたに)です。こちらの連載では東京の様々な街を “暮らす目線” と “不動産屋目線” でご紹介していきます。

今回訪れたのは「天王洲アイル」。豊洲やお台場、有明などと同じく東京湾に浮かぶ人工島のひとつです。人工島と聞くと殺伐としたイメージを抱かれる方も少なくないと思いますが、実際にはどのような街並みが広がっているのでしょうか? 街歩きしながらレポートしたいと思います。

港区と品川区の境界 メジャースポットへのアクセス良好

天王洲運河を挟んで北が港区、南が品川区と区界に位置し、東京高速鉄道りんかい線、東京モノレールの2駅が徒歩5分の距離に存在します。りんかい線はJR埼京線と直通運転しているため、渋谷・新宿・池袋など主要な街へダイレクトにアクセスでき、モノレールに乗れば東京の玄関口「羽田空港」まで直通しています。
 

▲ 品川駅までは約1.5km、徒歩20分ほどの距離。品川区議会では “2031年を目処に羽田空港アクセス線新駅を天王洲アイル付近に設置する” という議論がなされているようですが、詳細のほどはまだ明かされていません。

その歴史は古く、江戸幕府によって第四台場としてつくられ、流通倉庫の集積する場所として重要な役割を担ってきましたが、1985年に天王洲の地権者22社によって「天王洲総合開発協議会」が発足され、総面積22haに及ぶ民間最大規模の都市開発が始まりました。

『21世紀の人間の環境を予測した街づくり』と銘打って、オフィスを中心とした都市開発でありながら、機能性のみならず、感性や知性を刺激する文化性や、海辺のロケーションを利用した外部環境の快適性などを街づくりに取り込み、都市で働く人々の仕事、余暇、生活に対応していくという方針が立てられました。

▲ 左上・りんかい線「天王洲アイル」駅。/右上・海岸通りと並走するように走る東京モノレール。/下・モノレール「天王洲アイル」駅のコンコースより眺めた港区方面の景色。
 

複合施設と水辺の密接な関係

駅周辺には複数の複合ビルがあり、その多くは2階部分がスカイデッキでつながれています。雨に濡れずに移動でき、外へ出ると運河沿いという気持ちのいいロケーション。またビルの1階部分は椅子やテーブルが置かれた広場となっていることが多く、その日の気分によって居場所を見つけられるのが魅力です。

▲ 「シーフォートスクエア」。モノレール駅と直結し、オフィスだけでなくレストラン、「銀河劇場」(写真左下)、ホテル「ANA Holiday INN」(写真右下)などが入っています。生活に必要なコンビニ、ドラッグストア、郵便局、保育園なども入居。

▲ 左・「シーフォートタワー」は139戸の住宅部分と126室のホテル部分からなる、1992年築の大規模レジデンス。/右上・敷地の下は「天王洲アイル水辺広場」として整備され、運河沿いにはデッキが張られています。/右下・京浜運河越しに見える一際背の高い建物は2016年築、全363戸の「品川イーストシティタワー」。

▲ 左上・「天王洲オーシャンスクエア」の1,2階はカフェやフードコート、レストランからなる商業スペース。3階から上がオフィスになっています。/右上・「天王洲ファーストタワー」の1階にはレストランが集まる「リバーテラス」。/左下・「天王洲セントラルタワー」の足元には「キャナルガーデン」。/右下・「スフィアタワー天王洲」の1階にあった「旬八青果店 天王洲店」。

運河沿いの公園が織りなす ここだけの風景

ビルやマンションの麓が開かれている一方、運河沿いには大きな公園が点在し、お子さまの遊び場や運動する場にぴったり。取材時はカヌーを漕ぐ方々(!)にも遭遇しました。ビルが乱立するだけだと息が詰まってしまいそうですが、こうした自然のエアポケットを楽しめたり、潮風を感じながらウォーキングできること自体、天王洲アイルの魅力なのだと気付かされます。
 

▲ 上・京浜運河と合流する直前の目黒川に架かる「アイル橋」。ドラマのシーンで見たことがあるような……。/左下・「東品川ミッフィー公園」。隣接するポンプ所の屋上も庭園として開放されています。/右下・園内には遊具も。
 

▲ 上・「目黒川水門」には佐々木恭子氏による「しながわの鯨」。下をカヌーが通過! /下・「東品川海上公園」に置かれた大きな鯨の遊具。横には野球場も。
 

▲ 「港南公園」。裏手には「東京海洋大学」のキャンパスが広がっています。

アートによる街の活性化

「天王洲アイル」の街づくりにおいてキーとなっているのが「寺田倉庫株式会社」の存在。1950年に最初の倉庫をこの地に構えたことをきっかけに、現在では不動産領域・ストレージ領域・アート領域の3つを股にかけ、天王洲アイルを “アートの街” “スタートアップの街” としてエコシステムを構築しながら活性化を進めています。

▲ 寺田倉庫が開発を手掛けた一体。倉庫街が発端なことから、どこかニューヨークのブルックリン地区を思わせます。
 

▲ 左上・「寺田倉庫G号オフィス」。併設する「WHAT MUSEUM」は現代アートの美術館。倉庫で保管された建築模型を公開した「建築倉庫」も見学可能。/左下・T号倉庫の壁面には山口歴氏作「OUT OF BOUNDS」。/右・G号倉庫の壁面には淺井裕介氏作「何も語るな、何も記憶するな、全て忘れろ」。

最も魅力的に感じたのが、通称 “Bond street”。かつて倉庫街で保税地域(bonded area)だったことがその名の由来です。運河沿いにはデッキが敷かれ、運河の交差点にはこの地のランドマークともなっているブルワリーレストラン「T.Y.HARBOR」があったり、寺田倉庫が運営する「WHAT CAFE」があったり。T号倉庫に広告ビジュアル制作最大手の「株式会社amana」やアパレルブランド「ヨウジヤマモト」などがオフィスを構えていることもあって、おしゃれな方々が闊歩し、ここだけ異世界のようでした。
 

▲ 左・通り沿いにあるARYZ氏による「The Shamisen」。/右上・ボードウォーク(板張りの遊歩道)上にはテーブルや椅子がずらり。なんと同じ運河沿いには水上ホテル「PETALS TOKYO」も。/右下・「WHAT CAFE」の一角はギャラリースペースとして開放されています。

▲ 左・隈研吾氏がデザインを手掛けた「PIGMENT TOKYO」は絵画材料専門の複合クリエイティブ施設。/右・反対側には保育園が入っていました。
 

水辺の大規模レジデンス

「天王洲アイル」駅より徒歩10分圏内の過去3年間不動産成約情報を独自に調べてみたところ、予想通りではありましたが土地と中古戸建ては合わせて1件の成約のみ。残す287件はすべて中古マンションという結果になりました。よって中古マンションに的を絞ってご紹介します。
 

▲ 東日本流通機構(REINS)に登録された、過去3年間(2022/11/1-2025/10/31)の中古マンション成約事例を集計したもの(オーナーチェンジ物件を除く)。「天王洲アイル」駅より徒歩10分圏内のみを集計しており、同アドレス内でもそれを超えるものや未登録物件はカウントしていないため、全成約を網羅できているものではないことをご了承いただいた上で、ご参考までにご覧ください。(専有面積45㎡以上、価格の制限なし)
 

同じアドレス内でも特定のマンションに数が集中しているのも特徴。特に総戸数2,090戸を誇る「ワースドシティタワーズ」は全体成約数の約半数を占めています。

・港南4丁目:ワールドシティタワーズ(131)/ 東京シーサウスブランファーレ(15)
・東品川1丁目:シティハウス品川サウス(7)/ ジオ品川天王洲(4)
・東品川2丁目:シーフォートタワー(12)/ サンウッド品川天王洲タワー(8)
・東品川3丁目:ラグナタワー(20)/ 品川シーサイドレジデンス(15)
・品川5丁目:品川イーストシティタワー(42)/ シティテラス品川イースト(19)

以下に写真を載せる3つのマンションは、いずれも2005年頃に竣工。当時いかにこの街が “都心の『新』居住スポット” として注目を浴びたかが想像できます。大規模レジデンスはコンシェルジュサービスやゲストルームを備えていることが多く、運河を眺めながらホテルライクな日常を送れそうです。
 

▲ 左・圧倒的成約数を誇る2005-6年築、全2,090戸の「ワールドシティタワーズ」/中央・2005年築、全501戸の「ラグナタワー」/右・2005年築、全129戸の「サンウッド品川天王洲タワー」

なお「ワールドシティタワーズ」の隣には地上19階建て・全233戸の「ブランズシティ品川ルネ キャナル」が、その向かいには地上14階建て・全216戸の「ブランズシティ品川テラス」がいずれも2026年10-11月に竣工予定。また海岸通りと通称 “Bond street” の交差点では現在地上34階建て・全275戸の「パークタワー品川天王洲」が建設中で、2027年8月下旬竣工予定となっています。まだまだ街の景色が変わっていきそうですね。
 

▲ 「パークタワー品川天王洲」建設地の様子。
 

▲ 朝、夕方、夜と、それぞれ違った表情を見せてくれる運河沿いの風景。これにて取材は終了です。
 

まとめ

取材と調査を元にまとめた「天王洲アイル」の特徴は以下の3つ。

・都会的な “水辺暮らし” が楽しめる
・主要スポットへのアクセス良好
・暮らしやすさは “△” かも?

駅がある島状の「東品川2丁目」はオフィス街が中心。スーパーなどの生活利便施設は少なく、公立校もありません。しかし “暮らしの香り” を感じないからこそ、反対に “クールでさっぱりとした街” の魅力を醸成しているのではないでしょうか。

お住まいの方にお話を伺うと、電車やモノレールのほか、車も渋滞知らずで交通アクセスはとても快適とのこと。場所柄大型トラックやダンプなどが目立ちますが、確かに車道が混み合っている印象はありませんでした。

都会的な水辺の風景が日常に溶け込み、休日にはアートに触れたり、公園でリラックスしたり。他の街とはちょっと違った暮らしが送れそうです。
 

おまけ 〜わたしの取材メシ〜

あいにく「T.Y.Harbor」は平日の取材にも関わらず満席! お隣の「breadworks TENNOZ」でクロックムッシュとアイシングクッキーをいただいてきました(メロンパンは娘へのお土産)。セルフスタイルなので気軽に利用できるのが魅力。暖かい日にはテラス席でゆっくりするのもオススメです。
 

▲ 「T.Y.Harbor」は年末で一旦クローズし、2026年3月下旬までリニューアル工事の予定。近々行ってみたいと思われている方はご注意ください!
 

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